2019年8月1日(木)20:30
「Anime Expo2019」ホビー&フィギュア系視点からのイベントレポート
Anime Expoについて、ザッとした全体の印象を前回の記事 でまとめてみましたが、本稿では、私の専門分野であるフィギュア・ホビー系に関して。
Anime Expoは、北米でのフィギュアやホビー関係の状況について知ることのできるイベントでもあります。配信が中心で、ブルーレイやDVDが強くない北米のアニメ市場では、フィギュアがアニメにおけるひとつのフラッグシップアイテムになっているという状況があり、なおかつAnime Expo会場において日本のフィギュアメーカーが新製品を発表し、各地から来ているショップではフィギュアがひとつの目玉アイテムとして扱われています。ただ、会場で販売されているのはプライズフィギュアなどの低価格フィギュア中心。これが3年前に参加したときに見たフィギュアの状況でした。その後、毎年参加してる人から情報を聞くと、フィギュアの存在感はますます増している、ということだったのですが……。
今年のAnime Expoでは、ちょっとフィギュア関係減ったなぁというのが正直な感想。メーカー的には、グッドスマイルカンパニーとコトブキヤがブースを出し、さらにTokyo Otaku Modeもフィギュアを中心としたブースではあったのですが、以前出展していたボークス(今年も途中までは参加リストにあったと思うのですが、いつの間にか未参加になっていました)、メガハウス、ホビージャパンもなく。ただ、一方でバンダイは4つのメーカーブースを統合する形で会場中央にでんと構えていましたが、それはまた後ほど。
ブースでの展示で目に付いたところでは、コトブキヤでは日本だとメイン展示のひとつである「フレームアームズ・ガール」のプラモデルの展示はなかったこと。新作としては「炎炎ノ消防隊」が発表されていました。
グッドスマイルカンパニーでは、新作発表では「ペルソナ5」「プロメア」など。POP UP PARADEシリーズは「ペルソナ5」「初音ミク」あたりの展示はあるものの、シリーズとしてプッシュしてはいませんでした。このシリーズは、プライズフィギュアとも勝負しやすい40ドル程度の価格で、海外で人気が高い作品やキャラを続々と発表しているので、今回のグッスマブースの目玉になっているのではないかとも予想していたのですが、アメリカでの本格的な展開はまだこれからということのようです。会場入り口正面の上に方にはいつものようにグッスマが広告を出していたのですが、そこにあったのはねんどろいど1000番の雪ミク。別会場でねんどろいど1000体の一挙展示も行われていました。
グッスマでもうひとつ気になったのが、ブース裏手に設けられていた「FOR FANS BY FANS」( https://www.forfansbyfans.com/ )というエリア。ファンがファンのために作るという創作活動で、さまざまなキャラクターが並んでいます。初音ミクなどの二次創作についても正式許諾のもと行われていて、ウェブサイトを見るといろいろな商品がでています。この活動自体は以前から展開されていたのですが、近年グッドスマイルカンパニーがそのアメリカでの流通等も行って、ブース出展もするなど支援しているようです。
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話を戻してバンダイブースについて。バンダイナムコホールディングス、バンダイアメリカ、バンダイナムコエンターテインメントアメリカ、バンダイナムココレクティブルズという4つのブースを会場入ってすぐ場所に設けて、実質通路を含めた巨大な合体ブースとしていて、総合面積的にも目立つという意味でも一番のものになっていました。そこでプッシュされていたもののひとつが、ガンプラ。昨年のAnime Expoでも同様でしたが、ガンプラを本気で展開しようとしていることがうかがえるブース作りでした。
1/1とまではいきませんが3メートルくらいの大きなガンダムがブース内にそびえ立ち、その脇ではガンプラ組み立ての講座も開催、さらにはさまざまな新作発表も。
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昨年この会場で発表された実写版ガンダムは特に新情報はなかったようですが、新製品としてガンプラがシルエットで発表されていました。
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会場外のメインとなる広告でもガンダム40周年がプッシュされていました(ファーストがなくてアメリカで人気のウィングがいるのが面白いところ)。
いずれのメーカーもパネルを開催し、それぞれ新製品発表なども行っています。コトブキヤは「BANANA FISH」フィギュアのメイキングを日本から来たディレクターを交えて解説。その後「炎炎ノ消防隊」などの新作情報を発表。Tokyo Otaku Modeはパネル後半でストロンガーと東京フィギュアをゲストに迎えてフィギュアの話。初音ミクの製作発表もしています。いずれも合間でフィギュアをプレゼントしたりしていました。
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グッドスマイルカンパニーは昨年までの発表中心のパネルとはがらりと変えて、参加型のクイズショーを展開。ねんどろいどのシリーズ番号当てや、パーツを見せてのフィギュア名前当て、そのキャラがfigmaとねんどろいどのどれで出ているか当てるなどのクイズを行って優勝した人にはフィギュアをプレゼントしていました。アニメ新作などで多い一方的な発表はパネルが単調になりがちなのですが、グッドスマイルカンパニーのこのインタラクティブなパネルは参加者もとても楽しんでいました。
ショップエリアで販売されているフィギュアは、以前同様にプライズフィギュアが中心。日本から輸入したものもあれば、海外用一般販売フィギュアもあり(セガプライズもバンプレストも、日本ではプライズフィギュアとして展開しているものを、一部海外では一般販売するようになっています)。だいたい20~30ドルが中心価格帯です。
そういったプライズフィギュア以上に勢いを感じたのが、FUNKOのPOP!というデフォルメフィギュア。四角い顔にたどんのような黒丸の目を基本フォーマットにしたこのシリーズ、日本でもアメコミや映画キャラを中心に販売されていますが、アメリカではアニメキャラも多数展開されているのです。「僕のヒーローアカデミア」「NARUTO 疾風伝」「ペルソナ5」「セーラームーン」「ドラゴンボール」などなど、アメリカでも人気が高いアニメはかなりのキャラが発売されています(版権の関係もあって日本では販売されていないものも)。これは会場のあちこちで大量のラインナップ&在庫が並んでいて圧巻! 価格も8~10ドル程度と低価格で手を出しやすいのです。ちなみにこのPOP!というシリーズ、ねんどろいどの影響も受けつつ、日本のKAWAII文化の影響下で生まれたものではないかと思われます。
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今回はぬいぐるみもけっこう目に付きました。特にセガプライズの寝そべりぬいぐるみも人気(別会場で開催された「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursのライブに持ち込んでいる人も多数いて、中には1メートルサイズの巨大な寝そべりぬいぐるみを抱えたコスプレの女性ファンも)。
フィギュアを扱っているショップは数十あったのですが、日本で一般的な100ドル超えの価格帯のフィギュアを扱っているショップは2~3ブース見かけた程度。イベント限定フィギュアとしては、コトブキヤとグッドスマイルカンパニー、さらにブシロードなどが出していました。
他にフィギュア系では、ANNEXという別エリアでEspada Artという新メーカーの出展がありました。「HUNTER×HUNTER」のゴンとキルア、「アカメが切る!」のエスデスの原型を展示していましたが、いずもアメリカやヨーロッパで多い大きめのフィギュア(スケールは通常サイズでも2体セットだったり周辺アイテムが多かったり)。ただこういった海外のフィギュアメーカーの出展は、今回他には見当たらなかったようでした。
と、Anime Expoでのフィギュア関係アレコレをまとめてみました。印象としてはフィギュア関係は少し弱まったというところ。Anime Expo外の街中のショップで見たことも併せて考えると、POP!が低価格で多種類出て大人気になっていることの影響もあるのかなぁという感想は持ちました。ただ、それが正しいのかどうかも曖昧ですし、今後どう変化していくかも継続的に見ていかないと見極めることはできません。今後も情報を集めていきたいと思っています。
ホビー&フィギュア トレンド
[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ) フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。
作品情報
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フレームアームズ・ガール〜きゃっきゃうふふなワンダーランド〜
箱の中身は♡なっにかしらぁ♡ 私立若葉女子高の教室、マテリア先生が轟雷たちに突如はじめた『箱の中身はなんだろなクイズ』。この世界はいったい?! これは、フレームアームズ・ガールたちと想い出をふり...
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