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特集・コラム 2019年12月21日(土)19:00

【まなおのアニメ感想戦!】第13回 報知映画賞から読む2019年アニメ映画

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◆報知新聞映画賞
 12月18日、第44回報知新聞映画賞の授賞式に出席してきました。映画賞とほぼ同じ頃の45年前、報知新聞さまは初の女流棋戦「女流名人位戦」(現:女流名人戦)を立ち上げられ、以後も長年にわたり女流棋界を支えていただいています。私自身、挑戦者を決めるリーグ戦には7年以上連続で参加して、そんなご縁もあって注目している賞のひとつです。

◆ノミネートから振り返る2019
 2019年は昨年から枠が増え、10作品がノミネートしました。毎年劇場版が大規模に公開されるシリーズ作品だけでなく、テレビシリーズが元となるのは「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のみで、オリジナルアニメ映画の充実ぶりが窺えます。また、上映館数が限られていても「羅小黒戦記」「幸福路のチー」など、質の良い海外アニメ映画も、口コミで話題にあがって多くの人に観た1年だったのではないかと思います。賞にも印象的な2作品がノミネートしました。

◆ベル・エポックの光と影「ディリリとパリの時間旅行」
 絵本のような絵柄が目を引くフランスアニメで、舞台となるベル・エポック時代のパリの美しさだけでなく、人道的なテーマにも深く斬り込んで展開されます。ニューカレドニアから来た少女・ディリリちゃんには人為的な困難が振りかかりますが、気丈に乗り越えていこうとする“マドモアゼル”な振る舞いは必見です。フランスの名所の数々をまるで旅行のように訪れたり、ロートレック、エリック・サティなど、後世に残るパリの芸術家たちに手を差し伸べてもらったり、フランスの空気をたっぷり感じられる美しい映画でした。

◆衝撃の体験「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」
 フランスとスウェーデンの合作で、故・高畑勲監督の絶賛から3年越しにスクリーンに登場したことでも話題になりました。ロシア人の少女・サーシャは、船乗りの祖父の夢である北極点到達を叶えるため家を飛び出します。王道の冒険譚ですが、なにより情感豊かなアニメーションが見所です! ほぼ全ての場面で「スクショを撮りたい!」と思うほど絵が洗練されているし、シンプルゆえに機微が引き立って想像を掻き立てられるのです。繊細に描き込む日本アニメはもちろん大好きですが、本作で引き算の上で成り立つ映像を目の当たりにしたのは今年一番の衝撃でした。

◆豊作の2019年、翌年は?
 どちらの作品も日本ではなかなか見られないアニメーションで、鑑賞が体験としての価値を噛みしめることができました。たまたまどちらも旅・冒険というテーマでしたが、広い世界を感じられることも海外アニメの大きな魅力だと思います。2020年は映画40周年を迎える「ドラえもん」や、「名探偵コナン」が旋風を巻き起こしそうではありますが、海を越えて、まだ出会ったことのない新しい世界を見せてくれるようなアニメーションに出会えることも楽しみです。

香川 愛生

まなおのアニメ感想戦!

[筆者紹介]
香川 愛生(カガワ マナオ)
日本将棋連盟女流棋士。15才でプロ入り後、女流王将2期獲得、現女流三段。受賞歴は女流最多対局賞・女流棋士賞など。ゲーム、コスプレなど、多彩な趣味を活かし将棋普及活動にもいそしむ。著書は「職業、女流棋士」(2018)。

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