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特集・コラム 2019年10月12日(土)19:00

【数土直志の「月刊アニメビジネス」】「マチ★アソビ」に「新千歳空港」、成功する地方発のイベントのツボ

5月5日、「マチ★アソビ Vol.22」内で開催された「インフィニット・デンドログラム」トークショー

5月5日、「マチ★アソビ Vol.22」内で開催された「インフィニット・デンドログラム」トークショー

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■北海道から九州まで、全国に広がる総合アニメーションイベント
 アニメやマンガ、ゲームの大型イベントというと「Anime Japan」や「東京ゲームショウ」「コミックマーケット」が有名だ。いずれも数日間で10万単位の参加者を動員する。また開催が東京圏の国際展示会場というのも共通だ。
長らくこうした大型イベントは、東京圏以外ではなかなか成立しにくいとされていた。周辺人口の多さと便利なアクセスが開催に必要なためだ。
 ところが近年は様相がかなり変わってきている。2019年秋に開催されるアニメ関連の総合イベントを眺めると、地方開催の多さに驚かされる。2012年にスタートした「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」、「仙台アニメフェス」、さらに「新千歳空港国際アニメーション映画祭」「にいがたアニメ・マンガフェスティバル(がたふぇす)」「アニ玉祭 アニメ・マンガまつりin埼玉」「フクヤマアニメ」「まんさい―こうちまんがフェスティバル」「マチ★アソビ」「北九州ポップカルチャーフェスティバル(KPF)」。北は北海道から南は北九州までに及ぶ。1年間を通せば、もっと数は増えるだろう。

地方発のアニメイベントが増えるのは昨今のアニメの人気盛りあがりもあるが、地方自治体の協力も大きい。会場や宣伝だけでなく、運営資金の一部をサポートする場合も少なくない。地域振興の一環として、若い世代に人気のアニメに目をつけたというわけだ。地域を牽引する人たちにもアニメ世代が増えた事情もある。
 ただ課題も少なくない。アニメ関連イベントの運営は様々なノウハウが必要だからだ。人気作品を上映しようとしても、アニメの厳しい権利ルールをクリアしなければいけないし、作品宣伝のタイミングとの調整も必要だ。アニメスタッフや声優・アーティストをゲストに招くにも、スケジュール調整は楽でない。苦労が多い割に効果が少ないと思われてしまうこともある。このため自治体側の初期の熱狂が過ぎるとイベントの規模が収束して、やがて終了するケースも少なくない。

■成功したお泊り型イベント 「マチ★アソビ」と「新千歳空港国際アニメーション映画祭」
 そうしたなかでの成功例が徳島の「マチ★アソビ」、それに北海道の「新千歳空港国際アニメーション映画祭」である。
 2019年秋は台風の影響でクライマックスランの開催が延期になった「マチ★アソビ」だが、2009年にスタートして開催23回目、動員数は多い時で8万人超にもなる。息の長さ、動員数でも地方アニメイベントを代表する存在だ。とりわけアニメ業界関係者の参加では群を抜く。
 「新千歳空港国際アニメーション映画祭」は今年で開催6年目だが、メインの国際コンペテイションを短編部門から長編・学生部門に拡大。4日間の開催期間中には当初の従来の海外作品やアニメーション作家中心だけでなく、アニメスタジオ特集やテレビアニメ最新作の先行上映、声優ゲストも招くなど、アニメファンへの浸透も目指している。

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「マチ★アソビ」はアニメ・マンガ・ゲームのコアなファンが中心、「新千歳空港国際アニメーション映画祭」はアニメーション作家や海外作品や海外ゲストも多いと、イベントの色合いはかなり異なる。しかしふたつのイベントには共通するところがある。いずれも地の利が悪いのだ。徳島市の人口は25万人でミドルサイズだし、関西圏から出かけるにはかなり時間がかかる。北海道の玄関口にある新千歳も札幌からだと片道1時間近くかかる。
 しかしいずれも特色のあるプログラム、豪華なゲストを並べる。ファンがわざわざ足を運びたくなる仕掛けだ。わざわざ足を運ぶのは地域周辺のファンだけでない。東京をはじめとする全国から人が集まる。遠くから来たら参加者は会場周辺に宿泊することになる。実はこの宿泊こそが、ふたつのイベントの成功につながっている。アニメイベントは人口の多い都市、アクセスのよい集客のよい場所でやるとの常識を打ち破った。

日本では少ない宿泊型のイベントは、広く海外に目を移すと決して珍しくない。映画祭、アニメイベント、コンベンションは地方都市と相性がいいのだ。例えばフランスのカンヌ国際映画祭、アヌシー国際アニメーション映画祭、アングレーム国際漫画祭、あるいは米国最大のコミックコンベンションであるコミコン・インターナショナルのサンディエゴも決して大きな都市ではない。
参加者の目的は毎回そこで、馴染みのクリエイター、友達、作品に出会い、夜を徹して議論を戦わせたりすることだ。熱いコミュニケーションの場なのである。
 宿泊者が増えることは、地域活性化でもよりメリットが大きい。日帰りに比べて参加者は地域でより多く消費する。通常のイベントであれば大規模な会場に短期的に人が集中しただけで終わり、地元には人が流れてこないこともおきがちだ。しかし宿泊型であれば、地元自治体もイベントをさらに応援しやすくなる。

数が増えた地方のアニメイベントだが、地域振興やインバウンドを掲げることでまだまだ増えるかもしれない。イベント間の競争も激しい。イベントが長く続き、そしてファンコミュティ、地域にとっても幸せになるためには、ミニ「Anime Japan」やミニ「コミックマーケット」でない独自性や存在意義が必要となる。「マチ★アソビ」、それに「新千歳空港国際アニメーション映画祭」の成功は、そんな生き残りの際の可能性を示している。

数土 直志

数土直志の「月刊アニメビジネス」

[筆者紹介]
数土 直志(スド タダシ)
ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。国内外のアニメーションに関する取材・報道・執筆、またアニメーションビジネスの調査・研究をする。2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、16年7月に独立。代表的な仕事は「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。主著に「誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命」(星海社新書)。

イベント情報・チケット情報

マチ★アソビvol.23  クライマックスラン Check-in0
開催日
2019年10月26日(土)
場所
徳島県

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